インタビュー第3回

NEXCO中日本におけるBIM/CIM全面適用とCDEについて

 JACICでは、BIM/CIMの普及推進を目的に、「ISO 19650」「CDE」等の動向調査を行っています。

 今回は2025年7月より土木・施設工事等においてBIM/CIMの全面適用を開始し、3次元モデルの活用やCDEの利用に取り組んでいる「中日本高速道路株式会社」様にインタビューしました。
 BIM/CIM全面適用の取り組みの一環で発表した「共通データ環境利用マニュアル」では、CDEの具体的な利用手順についても明記されています。インタビューの中では、BIM/CIM全面適用の取り組み内容やCDEの活用方法等を中心にお聴きしました。

2025年12月

GUEST

中日本高速道路株式会社 技術本部

櫻井 健一郎氏、長濱 正憲氏、石田 篤徳氏、内山 洸氏、後藤 滉治氏

BIM/CIM全面適用に至った経緯についてお聞かせください。

NEXCO3会社は、「発注者として建設業の働き方改革を実現し、高速道路における工事現場の環境改善を促進すること」が必要だと考えています。そこで、NEXCO中日本では、高速道路事業における一連の建設生産・管理システム(計画・調査から維持管理まで)を「効率化」、「高度化」、「省人化」し、生産性向上を図ることを目的に2025年7月から土木・施設工事等においてBIM/CIMを全面適用にしました。2030年度までは、「高度化」「省人化」を目指しつつ、「効率化」を主眼において取り組みを進める予定です。

BIM/CIM全面適用の具体的な取組み内容を教えてください。
【情報のデジタル化】

工事関係書類を電子データ化することで、容易にデジタルデータの授受、閲覧、保管、検索ができる状態にしていきます。受発注者間の打合せについても書類を印刷して実施するのではなく、ペーパーレスで実施します。

【3次元モデルの作成と活用】

測量・調査、設計等において3次元モデルを作成し、現場イメージや完成形を可視化することで、受発注者間及び関係者間の合意形成・課題解決が図りやすい状態にすることを目指しています。作成した3次元モデルは後工程へ引継ぎを行います。3次元モデルを作成することが目的ではなく、3次元モデルを活用し効率化することが最も重要だと考えています。

【共通データ環境(CDE)の利用】

従来は、受発注者間でメール等を用いてデータのやり取りをしていることで時間を要していました。現在は、受発注者間のデータ共有の効率化のために共通データ環境(CDE)を導入し、工事等関係書類や3次元モデルを共有することとしました。CDE製品としては、「Autodesk Construction Cloud」を試行的に導入しています。

御社では工事関係書類のやりとりを行うシステムとして「K-cube2 ※1」を運用されていますが、CDEとの使い分けはどのようにしていますか。

「K-cube2」では工事関係書類の最終提出等(決裁、決裁履歴の管理・保存)を行っています。「K-cube2」にて提出する工事関係書類については、事前の内容確認や修正指示等、受発注者間でのやりとりが必要です。CDEは最終提出前の事前確認や受発注者間での工事関係書類等の授受に使用しています。3次元モデルについては、「K-cube2」で共有や提出ができないため、CDEで最終提出を行うこととしています。

CDEの機能を利用することで、3次元モデルによる形状等の確認、修正指示なども行っています。

※1 K-cube2:NEXCOが独自で開発した工事情報共有・保存システム

CDEを活用したことによる業務上の変化はありますか。

これまでは、各職員が五月雨式に電子メール等で工事関係書類の修正を依頼する場面があり、修正内容の取りまとめ作業が発生しているのが実情でした。また、受注者から受け取った資料を関係者に展開する際に、保存場所の共有や最新版のファイルを探す手間が発生していました。

CDEの朱書き機能や指摘事項機能を活用することで、修正指示や意見等の一元管理が容易になりました。また、CDE上のデータは複数の関係者が同一のデータを閲覧可能であり、更新履歴の確認をすることができるため、受発注者双方で最新のファイルを参照できます。

CDEの利用対象者について教えてください。

発注者は、当社の社員と施工管理員(発注者支援業務受託者)全員にアカウントを作成しています。受注者は共通仕様書に基づく情報取扱者名簿及び情報管理体制図に明示された者のうち再委託先を除きアカウントを割り当てます。

CDEのプロジェクトやアカウントの作成・管理はどのように行っていますか。

プロジェクトは契約単位(工事及び調査等)で作成します。次工程の工事及び調査等に引き継ぎを行う際は、CDEの機能を利用します。

CDE利用にあたっては、まず、本社でプロジェクト作成、アカウント登録を行います。次に、本社で契約毎に受注者とプロジェクト管理者の権限を設定します。各プロジェクトの管理者は事務所の課長・工事長が担当します。その後、各プロジェクト管理者がその他発注者メンバーの権限を設定します。

CDEを運用する上で定めているルールはありますか。

「共通データ環境利用マニュアル」でCDE利用時の運用に関して定めています。フォルダ構成については、誰でもどこに何のファイルがあるかすぐに理解できることを目的に、第2階層まで統一しています。CDEの機能で事前にフォルダ構成のひな型(テンプレート)を作成できますので、各プロジェクトのフォルダの初期設定に適用しています。

フォルダやファイルの命名ルールとしては、接頭に提出日を記載することやファイル名でバージョン管理をしないことなどを定めています。なお、CDEの利用方法については初回の打ち合わせ時に受発注者間で協議、確認することとしています。また、CDEを用いた受発注者間の情報共有の円滑化を目的に「CDE利用方法確認・協議書」を作成し、提出前書類の確認方法やファイル命名ルールについて受発注者間で初回打合せ時に確認、協議しています。

「共通データ環境利用マニュアル」(中日本高速道路株式会社)

「共通データ環境利用マニュアル」(中日本高速道路株式会社)

今後の展望についてお聞かせください。

現在の「K-cube2」とCDEの併用は、過渡期と考えています。将来的にはCDEの概念に沿った工事・調査等を一元的に管理できる新システムの整備を進めていきます。

 ご多忙のところ貴重なお時間ありがとうございました。
 JACICでは引き続きISO 19650/CDEに関する調査を行っていきたいと思います。

◎ 企業情報

会社名
中日本高速道路株式会社
本社
名古屋市中区錦2-18-19 三井住友銀行名古屋ビル
設立
2005年10月1日
事業内容
  1. 高速道路の建設事業、高速道路の保全・サービス事業、サービスエリア事業等
ホームページ
https://www.c-nexco.co.jp/corporate/operation/