ISO 19650とは

ISO 19650の全体像

ISO 19650の全体像

 ISO 19650には、シリーズを通じて独自かつ抽象度の高い概念・用語が多く登場します。
 ここでは、19650-1に登場する図をもとに作成した下図を中心に、ISO 19650シリーズに登場する各概念・用語を国内土木事業に置き換えて紹介します。

 この図には、ISO19650の基本となる概念・用語(「プロジェクト段階」、「情報管理プロセス」、「情報交換」、「CDE上のデータ」)がまとめられています。

ISO 19650の概観

「ライフサイクル」、「プロジェクト段階」、「情報管理プロセス」、「情報交換」、「CDE上のデータ」の関係は以下の通りです。

ISO 19650-1 「Figure 11 — Overview and illustration of the information management process」およびISO 19650-1本文中の記載等をもとに加工して作成

各概念の概説

項目 内容
建設資産の
ライフサイクル
ISO 19650では、建設資産(施設や構造物など)のライフサイクルを、まず「整備段階」と「運用段階」に大きく2分しています。建設資産の“完成まで(施工段階まで)”が「整備段階」にあたり、“完成した後(供用・維持管理段階)”が「運用段階」にあたります。この「整備段階」と「運用段階」が、それぞれ1つの"プロジェクト"と呼ばれる例が多いようです。
プロジェクト
段階
「整備段階」と「運用段階」はさらに細かくいくつかの"プロジェクト段階"に分けられます。プロジェクト段階の分け方は地域や個々のプロジェクトの特性によるとされていますが、国内土木事業では、「整備段階」は「測量・調査」「設計」「施工」に、「運用段階」は「点検」「補修設計」「補修工事」等に分けられることが一般的かもしれません。
情報管理
プロセス
ISO 19650では、プロジェクトに関する情報を関係者が上手く管理し、共有・活用するために推奨される一連の手順を「情報管理プロセス」と呼んで定義しています。
具体的には、プロジェクトの最初と最後に発注者が行う要件定義等や完了作業のほかに、各個別のプロジェクト段階(測量、設計、施工など)で受発注者が相互に行う「入札~納品」までの細かい手順が定められています。
情報交換 ISO 19650の「情報管理プロセス」の中では、発注者が最初に要件定義等を行い、これをもとに各プロジェクト段階の受注者に対して要求事項(「情報要件」と呼ばれます)を決めて提示します。
受注者は提示された要求事項にもとづいて生産活動を行い、必要なタイミングで必要な成果物を発注者やその他関係者へ共有・提出します。
CDE上の
データ
ISO 19650では、プロジェクトで「関係者がデジタル情報を共有・活用するためのプラットフォーム(とその運用方法)」を「CDE(直訳:共通データ環境)」と呼びます。
ライフサイクルを通じて「整備段階」と「運用段階」と進むごとに、関係者(各プロジェクト段階の受発注者)が生産したデジタル情報がデータとしてCDE上に蓄積されていきます。