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国際動向 2018年度(平成30年度)

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 BIMは急速な広がりを見せ、2016年には英国政府調達におけるBIMの義務化や2018年にはEU諸国の政府動向を取りまとめた『EU BIM Handbook』の発刊など、政府調達や生産性向上のための手段に用いられている。さらに、シンガポールでは、国土全体を3次元モデル化し、建物や土木インフラなどに様々な情報をリンクさせた3次元データベース「バーチャル・シンガポール(Virtual Singapore)」の構築作業が進んでいる。
我が国におけるBIM/CIMの取組みは7年目を迎え、今後は業界団体側にて牽引する時期になることが予想される。そこで、EU諸国より政府側の取組みに対する業界団体の対応状況より、ドイツの調査結果を報告する。

(1)Federal Ministry of Transport and Digital Infrastructure(連邦交通デジタルインフラ省)

 ドイツでは、建設分野のデジタル化が他の産業に比して遅れていることやEU諸国に比してデジタルによる市民へのサービスへの提供が遅れている等の建設プロジェクトで様々な問題があったため、当時の運輸・デジタル担当大臣であった、Dobrindt(ドブリント)大臣がReform Committeeを立ち上げ、BIMの導入が開始された。

ドイツにおける産業別のデジタル化の状況(2014年)

ドイツにおける産業別のデジタル化の状況(2014年)

Dobrindt大臣によるReform Committeeの設置(表明)

Dobrindt大臣によるReform Committeeの設置(表明)

(2)BIMを導入・推進する委員会の設置

 2015年6月にDobrindt大臣からBIMの導入およびそれに向けたロードマップの作成が通達され、その1ヵ月後に、Dr.Tulkeを委員長とし、業界団体(技術者協会や産業協会等)が集まってBIMを導入・推進する委員会(planen bauen 4.0)が設置された。また、同年12月にロードマップが作成され、連邦交通デジタルインフラ省より公開された。

ロードマップ(2015年12月公開)

ロードマップ(2015年12月公開)

(3)BIMの導入・推進に係るロードマップの概要

 ロードマップでは、BIMの定義およびBIM導入に向けたロードマップを以下のように定義している。BIM導入に向けたロードマップは、3つのステップ(準備段階、パイロットプロジェクト段階、BIMレベル1の実装段階)を示している。

BIM導入に向けたロードマップ

 ロードマップでは、各プロセスでBIMを導入し、連携していくための要求事項を整理している。これは、概略設計から設計、施工、維持管理において、それぞれのプレイヤーが実施すべきBIMのタスクをとりまとめており、ドイツが独自に作成したものである。

各プロセスでBIMを導入するための作業タスク

各プロセスでBIMを導入するための作業タスク

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