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CALS/ECイントロダクション
電子入札とは?

従来の紙入札との違い
電子入札システム標準化の必要性
電子調達の全体概要
電子入札システムの認証
電子入札システムの対応認証局
国土交通省の電子入札
電子入札コアシステムとは
電子入札コアシステムの特徴
電子入札コアシステム開発コンソーシアムのメンバー構成
電子入札国際標準化の完成


従来の入札と電子入札との違い
 従来の入札では、人の移動が多く、それによって入札参加機会が制約されたり、あるいは業者同士が出会うことにより談合の恐れがあると言われてきました。 また、手続きの不透明さが指摘されてきました。

従来の入札と電子入札の違い

従来の入札と電子入札の違い

人の動きが電子に置き換わることで、
指摘されてきた諸処の問題点の解消が期待されています。

従来の入札と電子入札の違い



電子入札システム標準化の必要性
 各公共発注機関において独自に構築した場合、各々独自のシステムが構築されることになり、個別に開発費用や維持管理費用が必要となってしまいます。
 また電子入札システムに対応する認証に関しても独自仕様の認証が乱立されてしまい、応札者は入札を行う発注機関のインターフェースごとに各々対応する必要が生じてきます。 その結果、応札者においては複数の専用端末やICカードリーダを個別に用意しなければならず、導入コストや維持コストが増大してしまいます。
 このため、電子入札システム標準化の必要性があります。




 電子入札システムが標準化された場合には発注者側にとっては独自部分のカスタマイズのみで済むため独自開発に比較して開発費用が抑えられます。応札者においては認証基盤が統一されることにより、電子入札を行うためのインターフェースが統一され一台の端末やICカードリーダにて複数の公共発注機関に入札が可能となり重複投資が避けられます。




電子調達の全体概要
 CALS/ECにおける電子調達とは、公共事業の工事や設計業務等の入札・契約を従来の紙に代わり、インターネットを利用した電子情報の交換で実現するものです。 全国の発注機関において電子調達を実現するためには以下の機能が必要です。
・入札情報の電子的提供
・入札説明書等の電子的提供
・電子入札
・電子契約
・電子認証
 入札情報の電子的提供は、発注機関が公表する発注情報(入札公告等)、入札結果等をWeb閲覧により情報提供するサービスです。 入札説明書等の電子的提供は、入札に必要な入札説明書、図面等をダウンロードできる機能です。 電子入札及び電子契約は、これまで発注機関に赴き、紙により行っていた入札情報(入札案件)の入手から入開札、契約までの一連の行為に代わり、ネットワークを利用して電子的に実施するものです。 電子認証は、電子入札及び電子契約がオープンなインターネットを利用して行われるため、その安全性や信頼性を確保するための仕組みです。




e-BISCセンター:Electronic Bid Server Control センター



電子入札システムの認証
 電子入札システムでは、公開鍵暗号方式による電子認証を利用しています。 これは「電子署名(秘密鍵)」と「電子証明書(公開鍵証明書)」を用いて、電子の世界における「押印(印鑑)」や「印鑑証明書」と同等なものを実現する高度な認証技術です。そのため、電子証明書と対になる秘密鍵を印鑑と同じように、不正使用、複製できないように厳重に管理する必要があり、秘密鍵及び電子証明書の格納媒体は、ICカードとしています。
 ICカードは、改ざん防御性が高く、秘密鍵を読み出すことができないようになっています。 また、ICカード内で秘密鍵を用いた電子署名の付与が処理されることから、カードリーダにICカードを差したままであっても、秘密鍵が漏洩することはありません。 携帯や保管にも優れていることから、印鑑と同じように、物理的な管理が容易にできます。
 なお、ICカードは、政府共用認証局の官職証明書、地方公共団体組織認証基盤の職責証明書、公的個人認証サービスでも採用されています。


公開鍵暗号方式による認証
秘密鍵を用いた電子署名は、押印や自署に相当する
秘密鍵の不正使用、複製を防ぐことが必要である

ICカードの採用
改ざん防御性が高く、携帯・保管に優れる
公的個人認証サービス等でも使用されている

電子入札システムでの利用
入札書、通知書への電子署名
PKI認証(サーバの本人認証)



電子入札システムの対応認証局
 国土交通省の場合、電子入札に対応する電子証明書(ICカード)は、応札者(入札参加者)が複数の民間認証局から選択することが可能です。商業登記認証局の利用も可能です。
 発注者においては、政府共用認証局が発行する官職証明書を利用して電子入札が実施されています。

認証システムの概念



国土交通省の電子入札
 国土交通省の電子入札は、平成13年10月より、大規模な直轄事業100件を対象に開始されました。
 その後、平成15年度には全面実施となり、平成17年度の開札実績は工事・業務合わせて約37,000件となっています。
 さらに、工事・業務のみならず、物品等についても平成15年度から一部で開始され、平成17年度は、一般競争入札、指名競争入札の全ての案件を対象に、本格的な運用が開始され開札実績は約6,000件になりました。






電子入札コアシステムとは
 電子入札コアシステムは、国土交通省が策定した「CALS/EC地方展開アクションプログラム(全国版)」の趣旨に則り、公共発注機関での円滑な電子入札システムの導入を支援するため、複数の公共発注機関に適用可能な汎用性の高い電子入札システムのことです。
 コアシステムの開発目的は入札を行う入札参加者側のインタフェースの標準化を図ることで、電子入札における混乱やコストを抑えることにあります。 発注者側にとっては標準的なパッケージをカスタマイズしシステムを構築することで重複投資を避けることができます。 コアシステムはオープン技術の採用及び仕様を公開することで特定ベンダによる独占が避けられ自由な競争が可能となります。 実現手段としては、電子入札コアシステム開発コンソーシアムによる仕様の検討に基づき、JACICとSCOPEが共同で開発・提供しています。


コアシステムとは
複数の公共発注機関に適用可能な汎用性の高い電子入札システム

コアシステムの目的
◆入札参加企業の混乱防止
電子入札システムが乱立すると、入札参加企業はそれぞれのシステムに対応することが必要になり、対応のための労力、コストの増大を招くことになります。 コアシステムという統一システムを採用することで、入札参加企業の負担も大きく軽減されます。

◆システム開発費の縮減
各公共発注機関が独自の電子入札システムを開発すると、その開発コストのトータルは膨大なものになります。 コアシステムの採用により、システム開発の重複投資を回避することができます。

実現
電子入札コアシステム開発コンソーシアムによる仕様の検討に基づきJACICとSCOPEが共同で開発・提供



電子入札コアシステムの特徴
 コアシステムは現在本稼動している国土交通省の電子入札をベースにして、コンソーシアム特別会員の公共発注機関のニーズを取り込み、正会員をはじめとする複数のベンダによりシステム開発を行っています。 入札業務に伴うセキュリティに関しては高度な暗号技術の採用や所定の時間まで開封できない仕組みの実現をしております。 また利用者の簡便性を考慮し専用ソフトウェアではなく一般的なInternet Explorerのブラウザを利用して入札が可能なシステムとなっております。




電子入札コアシステム開発コンソーシアムのメンバー構成
イラスト  電子入札コアシステム開発コンソーシアムは、正会員である開発ベンダーと電子入札業務に関連する団体としての賛助会員と、公共発注機関が参画している特別会員から成り立っています。
 公共発注機関に関しては汎用性や信頼性が高いシステムを構築するためにも、ニーズを反映し使い勝手の良いものを開発しシステムの提供を行っています。

正会員(6社)
−電子入札システムを開発する能力を有する企業
賛助会員(26社)
−電子入札コアシステムに関する情報を必要とする企業
特別会員(205団体)
電子入札システムの導入に意欲的な公共発注機関
中央省庁、公社・機構、都道府県、市町村
※平成21年4月時点での参加状況



電子入札国際標準の完成
 2002年4月よりUN/CEFACTにおいて日本が幹事国となって進めてきた電子入札の国際標準化が2006年10月のUN/CEFACT FORUM(国際会議)で電子入札国際標準・第2版として完成しました。
 第2版は2005年6月に正式に承認された電子入札国際標準・第1版(工事調達)の拡張版で工事調達を含むサービス(業務・役務)、物品を対象とした完成版となっています。
 また、第1版(工事調達)は電子入札のプロセスに関する標準のみであったが、第2版ではデータ項目の標準と実装に関するXMLスキーマまで全て完成し承認されています。
 この電子入札国際標準は2002年4月にUN/CEFACTの組織改編が行われてから初めて完成させた国際標準であり、これまでのようにひとつの業界に特化したものではなく、全ての業界に横断的に使用できる標準となっています。

UN/CEFACT
 ISOやITU、IECとともに国際標準を検討しているUNECEの下部組織。UN/CEFACTは電子商取引に関する電子データ交換標準の策定を担当している。
e-Tendering ebXML Standards Project
 UN/CEFACTにおいて日本が幹事国となって、電子入札のプロセスとデータ項目についての国際標準仕様の検討と策定を行っているプロジェクト。プロジェクト事務局はJACICが担当。
参加国
 フランス、アメリカ、イギリス、ドイツ、デンマーク、スウェーデン、オランダ、韓国、インド、台湾、日本。
電子入札コアシステムの国際標準準拠
 2006年10月の電子入札国際標準・第2版の完成に伴い、JACICは他国に先駆け電子入札コアシステムがこの電子入札国際標準・第2版に整合していることを検証し、UN/CEFACT内で発表しました。
 発表の結果、電子入札コアシステムは電子入札国際標準の実装の成功例として認められました。 また、他国においても稼働中の電子入札システムが本国際標準に準拠していることを検証し発表する準備が行われています。